京都の秋景色 自然と文化
北半球に紅葉が美しく色づき、様々な風景を黄色、朱色、深紅に染めているようです。ニューイングランド、カナダ、アルプス、中央・北ヨーロッパの森、南ヨーロッパの湖や渓谷、中国や韓国、どれも感動的な美しさを感じます。
でも、なぜ京都は世界の紅葉名所の上位に入るのでしょうか。国内からだけでなく、世界中の紅葉愛好家やインスタグラマーを魅了するこの街の景色や光景の何が特別なのでしょうか?
伝統行事 紅葉狩り
日本人にとって紅葉狩りは、春の訪れを祝う花見と同じように、畏敬の念と感動を呼び起こす伝統行事のように感じているのではないでしょうか。ただ美しい彩を眺める秋の景色ではなく、もう少し、年中行事と共に生きる日本人の生活に密着しているのだと感じます。
古代、京都の貴族たちが桜や楓の木の下で宴を開き、和歌を詠んで季節の移る様子を感じていた時代から、こうした風習は受け継がれてきたのかもしれません。源氏物語に描かれた、自然のはかなさ、季節のうつろい、命のはかなさを思う登場人物たちの情景は、何世代にもわたって人々の想像力をかきたててきました。 花見も紅葉狩りも、愛される娯楽であり、日本文化の永遠のモチーフのようなのかもしれません。
自然と造園
京都は三方を山に囲まれることによって、山の斜面や林や川に生息するモミジに適した環境を作るそうです。北は貴船、三千院、西は高雄、嵐山、そして洛中でも、紅葉を楽しめる場所は点在します。
その自然の恵みに加えて、壮麗な御所はもちろんのこと、寺社や庭園が最も集中しているという点でも国内ユニークな存在であることは間違いないでしょう。これらの施設には、樹木を育んできた長い歴史があります。秋に紅葉が色づくと、どのお寺さんの山門も拝殿も塔さえも、池、小道、橋のように、恐れ多くも最高の背景となってくれます。思わずカメラを向けたくなることでしょう。
背景と共に際立つ美
つまり、人々は単に紅葉を観賞するのではなく、日本の伝統建築、造園、街並みの中で紅葉を享受するのだと思います。
哲学の道に影を落とすモミジ(もちろん桜も)、二条城のお堀沿いのモミジ、龍安寺の石庭の塀の上に垂れるた赤、朱、常緑の葉の群生は偶然ではなく、つつましく造園家たちの描いた光景なのだと感じます。
そして、何世紀にもわたり、庭師さんたちが木々や草木を理想的な型と位置に配置し、自然と人間の手の両方の長所を発揮できるよう、細心の注意を払ってきたことは容易に想像できます。
最も人気のある紅葉スポットのひとつ清水寺では、紅の海を見下ろす本堂から圧巻の光景が広がります。さらに正面に建つ子安塔(こやすのとう)からの眺めは、山腹に高床式本堂が正に「舞台」のように見える光景が楽しめます。 もうひとつは、境内に3,000本ものモミジの群生が見事な「もみじの永観堂」です。いずれの寺院からも、秋を愛でるにふさわしい前景と京都を一望する後景が迎えてくれます。
「秋の日はつるべ落とし」観光ものんびり廻っているとあっという間に日が暮れてきます。そこで木々や境内が輝くような色合いを見せるライトアップに向かいましょう。
この時期、多くの神社、寺院、庭園で開催され、地元の人々にも観光客にも大人気です。2023年の主なライトアップのスケジュールをご紹介させていただきます。
2023秋 ライトアップ スケジュール
仁和寺
2023.10.13 - 12.03 (金、土、日、月、祝日開催 11月20日、27日、12月1日を除く)
18:30 – 21:00 ( 受付終了 20:30 )
高台寺 / 圓德院
2023.10.21 - 12.10
17:00 – 22:00 (受付終了 21:30)
二条城
2023.10.27 - 12.03
18:00 – 22:00 (受付終了 21:00 )
東寺
2023.11.01 - 12.10
18:00 – 21:30 (受付終了 21:00)
永観堂
2023.11.03 - 12.03
17:30 – 21:00 (受付終了 20:30)
京都府立植物園
2023.11.10 - 12.03
日没 – 20:00 (受付終了 19:30)
宝厳院
2023.11.11 - 12.03
17:30 – 20:30 (受付終了 20:00)
北野天満宮
2023.11.11 - 12.03
日没 – 20:00 (受付終了 19:30)
清水寺
2023.11.18 - 11.30
17:30 – 21:30 (受付終了 21:00)
東福寺
2023.11.18 - 12.03
17:30 – 19:30 (受付終了 19:00) 要予約。